保険が適用する治療法について
毛孔性苔癬は、二の腕や太もも、背中などに直径2〜3mmの丸く盛り上がったブツブツができるものです。個人差はありますが、小児期から発症して、思春期を経て40代以降自然に消えるものです。
自覚症状が出るのもまれで、特に健康的な問題はないものとされていることから、ただの生理現象であるという見解もあります。
しかし、人生で外見上のことが最も気になる時期に発症しているだけに、切実な問題として悩んでいる人も少なくないでしょう。
一般皮膚科での保険が適用する治療としては、尿素軟膏やサリチル酸ワセリン軟膏などの塗り薬が処方されます。
尿素軟膏とは尿素を配合した軟膏で、サリチル酸ワセリンとは、サリチル酸を主成分としてワセリンを加えた軟膏です。
尿素には、水となじみやすくたんぱく質を溶かすという働きがあり、サリチル酸も固く閉じた毛穴の角質除去に効果があるとされ、ワセリンも皮膚の保湿保護剤として用いられるものです。
また、オキサロール軟膏やヘパリン類似物質(ヒルドロイド)などが処方されることもあるようです。
オキサロールは、角化した表皮細胞の増殖を抑え、表皮が厚くなるのを改善する働きがあり、ヘパリン類似物質には、肌の保水力やバリア機能をサポートする働きがあるとされています。
このように、毛孔性苔癬の治療として一般的なのは、毛穴に詰まっている角質を溶解する働きをする外用剤の処方です。
これは、個人差はありますが、即効性のあるものではなく、根気よく治療を続ける必要があり、その効果にもあまり満足できない場合が多いようです。
そして、あくまでも対処治療なので、根治的な治療を望むのであれば、保険の適用がなされない治療を選択することになり、高額な費用がかかることになるのを覚悟しなければなりません。
そもそも、治療に保険の適用がされるものとされないものがあるのはなぜなのでしょうか。
健康保険の適用には、範囲があります。病気やけがなどの治療と認められていないものは、保険適用外とされ、健康保険の療養の給付を受けることができません。
歯科医でも高額な差し歯や前歯の治療、カイロプラティックのマッサージ、美容目的の診療行為などが保険適用外の治療となります。
一般皮膚科での毛孔性苔癬の治療で、期待するほどの症状の変化が見られず、さらに外見上気にならなくなるようにしたいと思うならば、美容的観点からの治療が必要となり、保険の適用範囲を超えてしまうのです。